ケガや病気に備える休業保障 コロナ禍で申し込み増 森 保団連共済部長(休保共済会専務理事)に聞く

いつ起こるかわからないケガや病気による休業に備える休業保障制度。コロナ禍の下、申し込みも増えている。保団連共済部の森明彦部長(休保共済会専務理事)に最近の加入状況を聞いた。

新型コロナウイルス感染症の拡大が続く中、休業保障制度への申し込みが増えているそうですね

7月末に加入最終審査を終えた2020年8月1日加入では、683人(3081口)の申し込みをいただきました。これは、2013年の募集再開以降2番目に多い申込数となります。 新型コロナウイルス感染症の流行の中、感染リスクを負いながらも感染者の治療や地域医療の継続を担っている保険医が、休業リスクを改めて感じた結果であると考えています。

新型コロナウイルス感染症の流行によって、休業保障制度の関心が高まっているということですが、実際に給付例はあるのでしょうか。

新型コロナウイルス感染症やその疑いの病名での給付請求は、5月以降毎月あります。会員・加入者が感染リスクを負いながら仕事をされているということがよくわかります。

3月から4月初旬に休業された方では、「受診を試みるも、発熱を理由に来院を断られた」、「微熱と全身倦怠感で複数の診療所に連絡したが、高熱ではないからと受診を断られ、高熱になったら保健所へ連絡するよう指示された」など、体調が悪くてもなかなか受診できない状況が伺われました。それらの事例の中には、数日で急速に症状が悪化した方もいらっしゃいました。

また、PCR検査が陰性で一旦は復業したものの、すぐに体調を崩し、再度検査をしたところ陽性判定され再休業したという事例もありました。

結果的に、新型コロナウイルス感染症に罹患していなかったとしても給付対象になるのですか。

この制度は、加入者が傷病で休業した時に備える制度です。制度上、休業と認定されるためには、第三者の医師が休業を必要と証明していることが必要です。新型コロナウイルス感染症を疑って休業し、感染していなかった場合でも、第三者の医師が「新型コロナウイルス感染症の疑い」などの病名で、休業が必要であることを証明していれば、約款上のルールに則って給付します。

実際、「初診で診察した患者が、数日後陽性と判明」「救急搬送された患者が陽性であることが判明」などのケースでは、幸い加入者本人は感染しなかったものの、濃厚接触者として、休業せざるを得なかったというような給付事例があります。件数でいえば、疑い病名の方が多くなっています。

現在は、2021年4月1日加入の申し込み受付中ですね。

加入日や保障開始日がだいぶ先になるので、直近の新型コロナウイルス感染リスクだけをみると、加入申込を躊躇されるかもしれません。しかし、長い保険医人生を見通して今一度、休業リスクを考えることをお勧めしたいのです。

保団連・保険医協会の休業保障制度の掛金は、満期までの加入期間中、ずっと同額です。掛金額は加入(増口)時の年齢によって決まります。加入時の年齢が若いほど掛け金は低く設定されています。若い時に加入したら、その時の掛金額で満期まで加入できます。

この制度は、運動によって守られたものですね。

これは保障期間が長期の制度だから可能な仕組みです。2005年に保険業法が改悪され、この制度の存続が危ぶまれる状況となりました。この時の検討で、保険業法の下では、掛金が年齢ともに上がらない制度や商品を作るのは難しいという結論でした。その後の運動によって保険業法を変え、2005年当時存在していた共済制度だけが、同じ制度内容で再開できることになったのです。運動によって守られたメリットをより多くの会員に活用していただきたいと思います。

業保障制度は約款等に基づき運営をしていますので、加入審査により加入いただけなかった方、年齢によって申し込めなかった方もいらっしゃいます。給付でも第三者の医師に受診せず感染防止のため自主的に休業されて請求できなかった方もいらっしゃると思います。

制度の運営と合わせて、これまでの運動の経験も活かし、保団連として、全ての医療機関への新型コロナ禍による医業経営の損失への補償を求めていくことも同時に重要であると考えています。

以上