保険医の疾病・休業対策 -森共済部長インタビュー

2013年11月8日 発表分

関東財務局(金融庁)の認可を受けて募集再開された保険医休業保障共済保険(「以下、休保制度」)は、第1回募集(2013年3月~4月)で、2,001名の方に加入され、加入者総数は、41,000名(2013年8月現在)を超えました。 第2回募集でも703名の方に加入申込みをいただいています。

認可後は保険の専門家である保険計理人が関与することとなり、財政的にもより確実に健全に運営することで4万人超の加入者の休業対策を担っています。

休保制度のこれまでの運営・給付実績などもふまえ現役開業医にとって“本当に必要な疾病・休業対策”とは何か、森明彦保団連共済部長にインタビューを行いました。

Q1:この間、休保制度に加入された方はどのような理由からでしょうか?

森: 第1回募集で加入された方にアンケートで理由をお伺いしました。アンケート結果では、8割の方が「休業時の備えが必要だから」と回答されており、半数の方が、「制度内容が優れている」「掛金(保険料)が安い」と回答されております。

「休保制度へのお申込を決められた理由」(第1回募集加入者アンケートより)
回答数283人(複数回答あり)
① 休業時の備えが必要だから 224人 (80%)
② 制度内容が優れている 141人 (50%)
③ 掛金(保険料)が安い 141人 (50%)
④ 他の保険と重複して給付される 51人 (18%)
⑤ 健康に不安を感じたから 18人 (6%)
⑥ その他 6人 (2%)
Q2:医師・歯科医師は、どんな理由(疾病の種類)で休業を余儀なくされますか?

森: 悪性新生物(癌)による休業がトップで、休業者の4人に1人が癌による休業を余儀なくされております。

疾病の種類
Q3:医師・歯科医師が休業を余儀なくされた期間はどれくらいですか?

森: 給付の統計を見ると過去5年の平均休業期間は、110日、約3.6ヶ月です。休業形態で特徴的なことは、自宅(在宅)での休業が7割を占めていて、入院による休業が3割です。その理由は入院から在宅へ誘導する医療政策と医療技術の進歩などが上げられます。

疾病別平均給付日数表
Q4:癌(悪性新生物)による休業はなぜ多いのですか?

森: 医師といえども、疾病に遭遇する確率は、一般の方と変わりません。勤務医時代は、職場健診等でたまたま早期発見されることもありますが、開業したら忙しさの余り、職員は受けさせたとしても自身は健診を受けない傾向がありますので結果として発見が遅れることがあります。

悪性新生物による給付
Q5:在宅療養での休業対策をどうしたらよいですか?

森:医師・歯科医師の疾病・休業対策は、癌による疾病だけでなく、脳溢血、脳梗塞などの在宅での休業対策が重要となります。備えがあれば、回復してからの診療再開・継続を容易になります。お金の心配をして療養されますとどうしても治りが悪くなってしまいます。

また、働き盛りの現役世代もいつ癌にかかるかわからない時代です。逆に言えば、若いうちからの備えが大事になってきます。

闘病生活の約6割~7割が在宅ですが、民間の疾病・入院保険で、入通院保障を謳っていても、通院においては、通院日だけとか退院後○日だけなど保障が制限されていたり、保障額も日額1万円程度と医院継続の保障としては不十分です。

休保制度は傷病を原因として在宅で休業した場合も給付され、病気や怪我の種類による免責や給付制限はありません。

また、休業と復業を繰り返された場合でも第三者の医師による休業の証明と所定の通院をしていれば給付対象となります。

8口加入の場合、在宅休業で30日給付を受けた場合、144万円(入院は192万円)の給付が受けられるなど医院継続のための経費を補う保障額となりますので、その点でも開業医した、医師・歯科医師のニーズに合致した制度だと言えます。

Q6:開業医(医科)が休業を余儀なくされた場合に、診療継続のためにかかる経費はいくらぐらいですか?

森: 厚生労働省が実施している医療経済実態調査は診療科別で、年間の医業収入、医業費用等が集計しております。ただ、これらの数値は、最頻値ではなく、あくまで平均値なので全体が高めに出る傾向があります。

医療経済実態調査より作成
2012年度 一般診療所 (個人・内科)
医療費用の内訳 (医科・個人・内科・年額)

また、看護師、事務員の人数により医業経費(給与費)は増減しますので各医院で実数値を考える際にはこれらの数値を参考値として考えてください。

個人立の内科・無床診療所ですが、2012年度の医業収入が8323万に対して、医業費用が6102万で医薬品も含まれます。

院長が休業した場合を想定しますと、医科の場合、医業収入は、ほぼ保険診療による収入であり、月額で平均508万円の費用が発生します。診療所を継続する場合の医業費用は、従業員の給与等の固定費が発生しますし、代診医を手配する場合は更に上乗せで出費となります。

疾病による休業は平均で4ヶ月ほどとなりますので必要保障額は約2000万(508×4)ほどです。

若い医師・歯科医師の場合、十分な貯蓄がなく、月々の借入金の返済に汲々としていますので、やはり何らかの保障制度への加入なくしては耐えられません。

Q7:“休業対策”の実績、実際にどれくらい活用されていますか?

森: 休保制度は、1970年に発足しましたが、発足から現在まで、約1,003億円の給付金をお支払いし、休業対策に役立たれてきました。

2012年度も休業時の給付金として約32億円が支払われておりこれだけ多くを金額が給付金として還元されていると言えます。

これらの給付金は単に加入者である医師・歯科医師本人が支えられるだけでなく、家族、従業員それから患者さんまで支える原資になっております。休保にまだ加入されていない方はこの機会にご加入されることをお勧めします。

以上